世の催眠から「あなた自身」を守るために催眠を学ぶのです。
「世のなかは催眠術にあふれています」
そういわれると、どんな気分になりますか?
ピンとこないかもしれませんね。
けれど——残念なことに——これは本当のことです。
催眠術師の目からみれば、あなたが気づいていないだけで、
世のなかは、あらゆる催眠にあふれているのです。
ちょっと怖くありませんか?
けれど、それが現実なのです。
もちろん、街中に、いかにもな、あやしい衣装の催眠術師がいて、
「あなたはお金を私にはらいたくなる!」なんて術をかけたりはしません。
そういうことではありません。
世にあふれる催眠術というのは、もっと巧妙です。
たとえばこういうのはどうでしょう。
「この美味さは簡単にはつくれなかった」
ちょっと変えてありますが、駅でみかけた某飲料会社のコピーです。
信じられないかもしれませんが、この数文字にも、催眠術がこめられています。
からくりをお教えしましょう。
ここには〝ダブルバインド〟という技術がつかわれています。
よく考えてみてください。
ここに「これは美味しいものだ」という暗示を、前提としてこめてあるのがわかるでしょうか。
おそらく売上もよかっただろうとおもいます。
そして、大勢の人間が「これは美味い商品なんだろう」と、
無意識から疑うことなくうけいれることになるのです。
どうです?
たしかに、日常を生きていて、
いかにもな催眠術師に「あなたはお金をはらいたくなる!」と操られることはありません。
けれど実質、このポスターをみて商品を買わされた場合、それとおなじことではありませんか?
だって「お金をはらわされている」のでしょう?
世の中にひそむ催眠術、というものを感じていただけたかもしれませんね。
それでも、まだ、ひとごとでしょうか?
ほかにも、いずれ紹介していこうとおもいますが、
広告、政治、放送、ネット、少し街を歩くだけで、あらゆるところに催眠はひそんでいます。
そして「催眠術を学ぶ」とは「それに気づいて自分を守る」ということなのです。
いいですか。
まわりの人間に催眠術をかけるだけ、なんて発想はすててください。
催眠術からは、もっと大事なことも学べるのです。
それは「世のなかから、あなたを自由にする方法」です。
まわりは、あなたが想像する以上に、催眠術にあふれています。
それを知らないことで、こわいことになるかもしれませんよ。
むしろ、すでに、あなたも、だれかに操られているとしたら。
いつ気づくことができるのでしょう?