テレビの催眠術はやらせ?
「でも催眠術ってヤラセでしょう?」
催眠術師だというと、ちょくちょくそんなことをいわれます。
テレビで芸能人がかかっているのは「やらせではないか」というのです。
ちょっとおもしろい指摘ですね。
というのも、半分くらいは本当のことだからです。
これは「催眠術が存在しない」「すべて催眠術はやらせだ」というのでありません。
たんに「テレビの催眠術はやらせが使われていることもある」ということです。
といっても「催眠術師はニセモノで、芸能人も全部かかったふりをしてるだけ」なんて、あきらかに悪質なものは、ほとんどありません。
催眠術は本当に存在する技術ですから、
むしろ、完全に嘘でつくりこむほうが難しいというものです。
けれど、テレビの世界は特殊なもので。
これが普通でない状況をうみだすことはあります。
そもそもテレビ番組で催眠術をとりあつかう場合、
絶対に「かかったところ」を映さないといけませんよね?
そうでないと成立しません。
そのために「かかる役」になる、芸能人の方々は、
必死に「かかろうとしてくれる」ことになります。
それがちょっと「やらせっぽくなる」ことにつながるのですね。
もちろん、ほとんどの芸能人は本当にかかっています。
基本的には「催眠術にかかればテレビにたくさん映れる」という状況は、
催眠術師にとってプラスにはたらきます。
けれど、まれに「ああ、この人はがんばって演技してるなあ」とおもうこともあります。
もちろん精一杯仕事をしているのですから、非難することではありません。
たしかに、それで番組としては成立しています。
しかし、こうしたカラクリが「やらせっぽい」といわれるゆえんなのかもしれませんね。
とはいえ、そんなのはめずらしいケースです。
そもそも芸能事務所は「どのタレントが催眠術にかかりやすいか」を把握しています。
そうした仕事のときは、出演者を、そのなかから選ぶわけです。
だからこそ、催眠術番組にかぎって、めずらしい芸能人がでたりするわけです。
人気や知名度でなく「催眠術のかかりやすさ」だけで出演者をきめるのですから。
もしテレビで催眠術を扱っていた場合、
今度から「だれか演技してないかな?」という視点でみるのもおもしろいかもしれませんね。
けれど、大事なことがあります。
もし演技をしていたモデルをみつけたとしても、非難してはいけません。
彼や、彼女は、催眠術師のために場をみださないようしてくれているだけなのですから。
むしろ一番の協力者なわけです。