「ゼロからはじめる催眠術 かけ方|あいての興味をひきだそう」
催眠術師、愛沢なつめです。
今回は「ゼロからはじめる催眠術」として、
催眠術をかける上で「あいての興味をひきだすこと」について語ります。
催眠術のかけ方というと、
どんなセリフで、どんな動作で、どんな表情で……というふうに、
技術の解説からはじめることが多いです。
しかし、催眠術において重要なのは「それまでの段階」です。
催眠術をかける前の、あいてとのやりとり。
そこで「あいてに催眠術にかかる心がまえ」をさせるのです。
あるいは、そのようにしむけるのです。
これは、とても重要なことです。
催眠術をかけるには「あいての無意識」を味方にすることです。
こちらにチャンネルをむけさせることです。
そういう意味では、催眠術をかけるとして、
いわば「催眠術にかかってもOK」な心理をつくりだせば、
もう勝負はきまったようなものです。
それが成功率につながります。
50%以上はねあがるのではないでしょうか。
だったら、学ばない手はありませんよね?
これをわからないまま、
教科書どおりに催眠術のかけ方を練習しても、
おそらく成功することはないでしょう。
技術やセリフをそのまま演じても、催眠術にはなりません。
大事なのは「なぜそれをするのか?」を知った上でおこなうことです。
戦いは、はじまったとおもうずっと前から、
はじまっているのですね。
技術の前に大事なことがあるのです。
ここでは〝興味〟という概念を学びます。
あいてと顔をあわせたときから、
いかに催眠術をかける準備をするか、という話です。
催眠術をかけたいあいてがいるとしましょう。
その場合、あせってはいけません。
いきなり催眠術の話をしても「え、こわい」「あやしい…」と、
反応されることもあります。
その場合、一気に、催眠術はかかりにくくなります。
ですから、まずは、
あいての心を「こちらの催眠術」にむけるのです。
ひきつけるのですね。
たとえば「実は催眠術もできるんだよ」と、さらっと口にしたりして。
あいてのようすをうかがいます。
ちょっとした心理学の話からはじめてもいいでしょう。
マジックやパズル、その他の話題からつなげることもできます。
大事なのは、いそがないこと。
「ああ、この人は、とにかく催眠術をかけたいんだな」とさとられないこと。
この二つです。
人間は、おしつけられたものには興味をもちません。
目の前にみせられながらも、手に入りにくそうなものに興味がわくのです。
子猫の前に毛糸をたらすのを想像してください。
猫の前に糸をたらして、くいついたら、さらにひっぱる……あの要領です。
少しずつ、あいての興味を「こちらの催眠術」にむけます。
露骨に「ねえ、催眠術かけさせてよ!」といってはいけません。
むしろ「催眠術をかけてよ!」といわせることです。
このセリフがキーワードです。
練習はじめのことは「催眠術をかけさせて」と口にしがちです。
自信もないし、練習する場所もそうありませんから。
けれど、それではいけません。
「あいての興味から、催眠術をかけてほしがった」という形をつくるべきです。
成功率が断然ちがいます。
人間は、無意識のうちに「あいてが上か下か」を感じとる生き物です。
そして催眠術師として、
催眠術をかけるには「いまは立場が上なんだよ」と知らしめることが重要なのです。
催眠術をかけて、あいての無意識をリードしようというのですから、
当たり前の話だともいえます。
よろしいでしょうか。
まずは、あいての興味をひきだすこと。
まずは「催眠術をかけてよ」「催眠術かけてほしい」を基準にしましょう。
このセリフをいわせたなら、ぐっと催眠術の成功率はあがります。