催眠術でできること、できないこと
口癖のようにいっておりますが、前回(催眠術は誰でも習得可能な「技術」である。)も話をしたとおり、催眠術は魔法でありません。
しかし、一般的には、たとえミステリー小説でも、
簡単に「まるで超能力か魔法か催眠術のようだ」なんて表現が使われます。
これらはまったく別物です。
けれど〝なにか奇跡をおこすもの〟と一緒くたにされるのですね。
なので、催眠術は、れっきとした心理技術だというために。
具体例に「催眠術でなにができるか、できないか」をハッキリさせようとおもいます。
すこしばからしく感じるかもしれません。
けれど、ものごとをより明確にするのは大事なことです——とくにこうした分野では。
まず「催眠術でできること」は、以下のようなものがあります。
私が舞台でみせることが多いものです。
・椅子からたてなくなる
・声がでなくなる
・笑いがとまらなくなる
・あなたのことを好きになる
・名前をわすれてしまう
・目の前に、好きな芸能人など幻覚がみえるようになる
ここで逆に「催眠術でできないこと」をあげます。
どれだけ練習しても不可能なものです。
・空を飛ぶ
・テレポーテーション、瞬間移動する
・物を超能力のようにうごかす
・あいての心を透視する
いかがでしょう。
ちょっと〝現実ばなれ〟している感がありますね。
けれど、リクエストされることがあるのも事実です。
いかに「魔法や超能力と混同されているか」がわかるでしょう。
これからも記事で説明していきますが、
催眠術とは「人間の認識をあやつる技術」なのです。
パソコンのプログラムを書き換えるように、
言語・非言語によって「あいての脳のプログラム」を操作する技術なのです。
ですから、催眠術の限界は「人間ができること」までです。
当然、物理法則をゆがめることはできません。
とはいえ「空を飛ぶ」でなく「空を飛ぶような世界をみせる」ことはできます。
もちろん「瞬間移動」でなく「瞬間移動した感覚を体験させる」ことはできます。
あとは「心を透視する」も「心を透視したようにしかみえない技術」ならあります。
それも「限りなく正しい推測」であり、本当に「心を透視した」とはいえないわけですね。
この違いにお気づきになるでしょうか。
ここに、催眠術を理解するカギがあるわけですね。
まずは催眠術に対する幻想をすてること。
そこから学びがはじまります。