催眠術で前世を知ることができる?前世療法と退行催眠について


今回はちょっと、あやしげなテーマを扱います。
すでに催眠術があやしいですけれど。

それは「前世」について。

本日は「前世はあるのか?」「前世は催眠術でわかるか?」といったことについて、
一人の催眠術師として考えてみます。


みなさんもきいたことがあるかもしれません。
そもそも催眠の世界には「前世療法」「前世退行催眠」といった言葉があります。
催眠術と「前世」をセットで考える方は多いですね。

結論からいいますと、
たしかに「前世退行催眠」をかけることで、前世を知ることはできます。

被験者を催眠状態にいれて「あなたは前世の世界に……」といった暗示を入れると、
前世を体験するようになります(もちろん秘密のコツはあります)。

そのあらわれかたは催眠状態の深さや、
被験者のタイプ、コンディションによります。

ざっと、催眠状態のなかで、前世の映像がみえる、シーンをおもいだす、
感覚がよみがえる、声がきこえる、感情を体験する——といった感じでしょうか。

そして、ほとんどの方は「私は前世をみました。それはこんなふうで……」と、
目をあけるなり、きらきらした顔で語ってくれます。

望むなら、そこから、

「今の人生に対するヒント」
「自分が生きている意味」
「人生のテーマ」
「この世の真実」
「本当のパートナー」
「悩みに対する答え」
「この人生でどうするべきなのか」

などを教えてもらう、ということもできるでしょう。

あるいは、現在のなんらかの障害とむきあうために、
前世を学ぶといった、心理療法的(前世療法)な使いかたもありますね。

しかし、ここで気をつけなくてはならないことがあります。

それは「前世の存在を証明することはできない」ということです。

たしかに「前世退行催眠」を使えば、被験者は前世をみることができます。
私も経験したことがあります。

しかし、夢を壊すいい方になりますが、
それは「本人が考える前世っぽいイメージ」を作っているだけの可能性もあるのですね。
催眠術の性質を考えるとありえることです。

くどい説明をしてみましょう。

たとえば「あなたを好きになる催眠術」をかけたとして。
それが成功するとは「あなたを好きになるイメージ」を、被験者の脳が抱いたということです。
これとまったくおなじことがおきている可能性があります。

「前世退行催眠」においては「前世のイメージ」を抱いただけなのではということですね。

どうか怒らないでください。
これは前世を否定しているのでありません。
あくまで可能性の話をしているのです。

世界には、前世を証明するかのような話もあります。
カナダの三歳児がインドの山奥の村のことを記憶していて———といったような。
そういった側面からの前世の真偽確認は、催眠術師の仕事でありません。

あくまで催眠術を使って、
よびおこした前世は「証明することができない」というだけの話なのです。
前世——過去——は、もう存在しないのですから。

しかし、むしろ、これは前世肯定派にとってよろこばしいことでもあります。
逆にいえば「前世をないと証明することもできない」のですから。
言葉遊びのようですが、これもロジック、たしかな真実です。

よろしいでしょうか。
これは催眠術を学ぶからには「信じる信じない」をこえた、
科学的な態度もときには必要になるという話でもあります。

別に「信じる信じない」が悪いということでありません。
理性と感情は別物ですから。

あくまで、ある一面においては、
理性的にとらえておくのはどうでしょう、という提案です。

その上で「どうしたいか」を考えるのは自由です。
各自好きな考え方を楽しんでください。

それでは最後に、前世に対する、私のスタンスを書きましょう。
シンプルです。

それは「否定も肯定もしない」というものです。

存在がたしかめられない以上、前世を肯定することはできない。
けれど、それで救われる人も楽しむ人もいることを否定しない、というものです。
前世がないことの証明もないわけですからね。

そして、催眠術の習得をとおして、
みなさんも自分なりの「考え・結論」を導きだしてください。
前世を賛成するも肯定するも、あなたが決めればいいだけなのですから。

とはいえ催眠術で体験できる〝前世〟は、
絶対に真実としかおもえないほどリアルなのですよね……。


2017-04-05 | Posted in その他No Comments » 

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