催眠術師はまったく「すごくない」というお話|威光暗示


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とにかく催眠術師はえらそうにします。
もったいぶった動作をして、なにやら講釈をたれて——あなたの想像でもそうでしょう?
それでつい「このひとは心理学のプロなんだろうなあ」とおもってしまうのです。

しかし催眠術師は、なにも威張りたくて偉そうにしているのでありません。
そうしないと「催眠術がかからないから」そうしているだけなのです。
わざと、すごくみえる演技をするのですね。

あいてに「このすごそうな人間になら催眠術をかけられそうだ」とおもわせたら、
もう催眠術は成功したようなものです。
あいての無意識に対して、優位にたつことになり成功しやすくなるのです。

これを〝威光暗示〟といいます。

ひとは無意識にあいてが「自分より上か下か」をきめる生物です。
そして「自分より上だ」とおもってあいてに迎合します。

それを利用した暗示テクニックです。
わざとえらそうにすることで、あいての無意識を従えるのです。

もちろん言葉で「俺はこんなにすごいんだぞ」という話をしてはいけません。
それは、ただの自慢話であり、みな退屈な顔をするだけでしょう。
かえって〝威光をさげる〟ことになります。

自分を重要視させたいなら。
もっと香水のようにさりげなく匂わせることです。
服装や、ふとしたひとことや、ちょっとしたふまいで。

医者の白い服、警官の制服、弁護師のバッジ、これらもおなじことですね。
あいての言葉をなんでもうけいれてしまいそうになりますよね?
では、その人物がジャージだったらどうでしょう?

そうです。
催眠術師は〝威光暗示〟をねらってえらそうにするのです。
本当に自分が偉大だとおもっているわけでありません。

むしろ、自分は「催眠術というだれもが習得できる技術」を学んだだけ。
特別な才能があるわけでないと自覚しています。
痛感といってもいいでしょう。

あなたも催眠術を学べば、みえなかった世界がみえるようになるでしょう。
まわりに人間があつまるようになるでしょう、みな輝いた目をみせるでしょう。
そして「もしかして自分はすごいのかも」と感じる日がくるにちがいありません。

そんなときこそおもいだしてほしいのです。
「ただ〝催眠術〟がすごいだけで〝催眠術師〟はすごくない」
これは私が何度も心のなかでくりかえしてきた言葉でもあります。

私たちは「幸運にもすばらしい技術を身につけただけの人間」です。
一流の催眠術師ほど、そのことに謙虚でいるべきだとおもうのです。
そして私は、ぜひ、あなたには「一流の催眠術師」になってほしいのです。


2016-12-11 | Posted in その他, 催眠術のかけ方, 未分類No Comments » 

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